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- 作者: 角田光代,佐内正史
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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おふたりで毎月東京のまちをあるいてつくられた本
左内正史さんの写真には空気が映っていて
いちまいいちまい見蕩れてしまうくらい素敵なのだった
『おだやかな楽園』 というおはなしのさいごの4行は幾度か読み返した
『光の柱に』 というみじかいおはなしはこころに沁みた
『見なかった記憶』 というおはなしの一節がよかった
見たものより見なかったもの。会えた人より会えなかった人。口に出せたことより出せなかったこと。食べたものより、食べることのかなわなかったもの。関係をもった人よりもたなかった人。いった場所よりいくのを断念した場所。手に入れたものより、どうしても手に入らなかったもの。それらは空白としてではなく、ある確固とした記憶として私のなかにある。
― 『見なかった記憶』