さくら

さくら

西加奈子さんの 2作めの小説
サクラというなまえの犬と その家族のおはなし
父も母も兄も妹も僕もサクラも そのまわりのひとびとも それぞれに魅力的で好ましい
ほのぼの愉しい家族のおはなしを くすくす笑いながら読んでいると
物語の雲行きはだんだん怪しくなってきて 衝撃の展開に 涙がはらはら零れた
さいごのほう みんなで車に乗って サクラを診せる獣医を探しているときの
いもうとミキの ながいながいセリフは ぼろぼろ泣いた
西加奈子さんの小説を読むのんは 1作め『あおい』*1 『きいろいゾウ*2につづいて 3冊めだったのだけれど
ほのぼの愉しくはじまって だんだん深刻になるおはなしを書くのんが つくづく巧いひとなのだなあ
西加奈子さんの小説を読むときは 油断していてはいけないなあ とおもった
重たく繊細なテーマも さらり書ききってしまう 見事な筆致
さまざまなかたちの愛が おはなし全体にたっぷり溢れていて とってもよかった