うつくしい人

うつくしい人

こころを病んでいる主人公が 旅にでるおはなし
そのようなこころの状態には 思い当たる節があり 身につまされた
主人公の いじわるな視線に いやな気持ちになったりもして
読みすすめるのが とても辛かった
あとがきを読んだら このおはなしを執筆されたとき
西加奈子さん自身 「ああなんかめっちゃしんどい」 状態だったらしい
なるほどねえ 道理で 読むのもしんどかった

 部屋にひとりでいると、心がしんとした。今この瞬間、誰にも見られていない、全くのひとりぼっちだと思うと、コップに張った水のような穏やかな気持ちになった。それは本当に心地いいものだったが、同時に足をすくわれる恐ろしさがあった。
―P20