あるようなないような

あるようなないような

読み終えるのにおそろしく時間かかった わたしに根気が無い所為か あんまりおもしろくなかった所為か
エッセイ集なので楽に読み終えるかとおもったけどそうでもなかった すこしずつ読んだ
95年頃からの文章を集めてあって ”パソコン通信” などという言葉がでてきて時代をかんじる (というようなことが あとがきに書いてあった)
ところどころ にやりとするおもしろさがあった ところどころ 声をだして笑った
目のつけどころがおもしろいひとだなあ 『丸四角』 に書かれている発見などは なかなか独特の視点
豆腐屋への旅』 『短歌と俳句』 の書き出し なんだかすきなかんじ

 旅というものが、今在る場所を離れて視界の異なるところへ身を置くことを意味するのであるならば、列車を乗り継いで遠方へと行くのも旅の一種であろうし、近所の豆腐屋まで行くのも旅の一種だろう。列車を乗り継ぐ旅もいいものだが、豆腐屋への旅だってずいぶんたいしたものである。
― 『豆腐屋への旅』

 何かをあらわそうとするときに、わたしは言葉をいくつかつらねます。
「あ」だけであらわせる何かはたしかにありますし、「ごはん」「だめ」「すき」「さんぽ」などの言葉だけであらわせる何かもたしかにあるのですが、その中にあるもっとたくさんのものをあらわすために、どうしてもわたしは言葉をさらにつらねなければならなくなるのです。
― 『短歌と俳句―ということでもなく、言葉であらわす諸々のことについてなど』

『未熟さを選ぶものたち』 は ちょっと考え込みながら読んだ 私を保つ ということや 真の自由 ということについて
”許されたい。” という 可愛らしい言い回しが いたく気に入った